世の中にはチョットアレなお人がいるもので、今日もそんな人に絡まれました。曰く。 「将来君もロシアだよ。」 ------けりたいせなか------- いい足りなかったのか、重ねて 「他所の文化を貪欲に吸収する君だもの。僕の文化を吸収するなら、僕になりなよ。そしたら平等だよね。」 だそうです。 私は他所の良い文化を受け入れることを自文化としておこなってきました。そもそもマトリョーシカの起源は私らしいのですよ、おっと韓国さんみたいなこと言ってしまいました。 他の皆さんから見れば変な習慣らしいのですが、それが私なのです。蛇足ですが小型化も得意です。 勿論、本来の用途を間違って解釈している部分は否めませんが、私たちの中でその文化は生きています。しかし私が貴方が他の人に行ったように貴方に組み込まれて消滅…これは言いすぎ かもしれませんがそれに準じることとなったら断じて「否」です。 「わかりましたか?ロシアさん。」 物事をはっきりとさせない日本としては珍しいほどの意思表示だったにもかかわらず、ロシアはいつもどおりの笑顔のまま「冷たいなぁ日本君は」とごちていた。 「貴方のような人に冷たいと思われるのは心外です。」 「日本君は冷たい部分と暖かい部分があるよね。そんなところを僕と日本君を平等に分けられるなんて素敵なのにね。」 ロシアはアメリカとは違う意味で徹底的に空気を読まない、自分の都合のよい方向でしか解釈しない、そして相手が落ちるまで粘る。それがロシアのやり方だ。 先日はいきなり日本の家に上がりこんで。勝手に入れた日本茶をロシア風に飲みながら。 その前は、明らかに偶然を装って日本の散歩の途中に乱入し、そこから前はなぜか自分の名前を書いた旗をはなめかせながら… そして今日に至っては、会議の帰りにつかまった。 最初は態度が紳士的であったし、アメリカ流の笑えない冗談の類だと思っていてあいまいに流していた日本だが、そろそろ限界だ。 何が 僕と一緒になりたい? だ。 莫迦にしているのか本気なのか。法治国家としてはありえないが、多分本気なのだろう。 しかし一緒になって何が楽しいというのか? それこそ当初は他の国の文化を受けて来たとはいえ、今は独自の文化風俗を形成している日本だ。そこへ一緒になって平等に分配しようよ?とは。 聞こえはいいが、詐欺だ。 そうに決まってる。 結局のところ分配に分配を重ねて物事を細切れにし、薄くして、挙句日本としてのアイデンティティを消し去るに決まっている。 「私は私であることに誇りをもっております、ロシアさんとご一緒しなくても十分に私は満足ですよ。」 「僕と君の仲じゃない。ロシアになる日本君。とってもステキだよね。」 「ですから貴方と一緒にはならないと何度申し上げればいいんですか。」 あまりに平行線なままの会話に痺れを切らせて日本が声を荒げる。 「あ、日本君怒った」 ロシアの笑顔は変わらない。むしろ喜んでいるようにすら見える。なおさらいらだたしい。 「私のことはあきらめて下さい。来年でも10年後でも100年後でもこの答えは変えられません。」 「えー。」 「それでは今日はこれにて、次にお会いしないことを祈ってます。」 一方的に会話を切り上げ足早にロシアから離れる。 「またねー日本君。次は良い返事聞かせてくれるよね。楽しみに待ってるよ。」 ロシアが付いてこないことに安堵しつつ、やはり何をするのかわからないので警戒しつつ日本は会議場を後にした。 ** 「勝手に楽しみにしてなさい!」 会議場から出てきて今さらロシアの最後の投げかけに答える。 あ〜もう、なにが「一緒になろうよ」ですか! 「ロシアさんなんか永久凍土のマンモスになればいいんですよ!貴重品ですが解けると腐るんですよ!」 常日頃の日本からは想像できない悪態をつく。 日本はロシアが苦手だ。そして苦手以上に脅威に思っている。 200年ほど引きこもった後の世界は帝国主義が流行していて、その時流に乗らねば己が消されてしまうことはいくら世間から取り残された日本に教えてくれたのは何を隠そうロシアだった。 当初ロシアは実に紳士だった。血なまぐさい歴史を持っているにもかかわらず引きこもり日本には紳士に対応した。だから日本はロシアのあの一言に浮かれあがったのだ。 そして真意を知って失恋した。 笑い話…では済ませられない。 おとなしいようでいて実はプライドの高い日本だ。勝手に惚れて勝手に自滅した自分が許せない。 ロシアが知ったら余計に喜ぶだろうということも余計に許せない。 「ロシアさんなんか陣痛にあってしまえばいいんですよ!ああなんですかその思わせぶりなのは。 もう絶対ロシアさんの言葉は信じませんよ。いや、私が勝手に勘違いしたとしても…ああ忌々しい」 次に会ったら、絶対あの人の背中を取ってやる!と心に誓った。 さっき会わないように祈ると言ったのにもかかわらず。 |
end ------------------------------------------------------------------ 帝政ロシアとソヴィエト連邦ごっちゃになってます。すみませんでした。 明治維新後の日本の外交のあたりをすごく忘れていることに愕然としております。(ゆの) 20080725 |